神山一代女

神山という地に、なぜやってきたのですか?と訊かれることが多い。

嫌気がさすほど、毎度訊かれる。

 

- トム・ヴィンセントと、ツイッターで出会ったんですよ…

- 会社を辞めて、映像を作りながら旅がしたいと思っていまして…

- たまたまトムが神山と縁があって…

- いやなに、色々しているうちに嫁と子が出来まして…

 

そのような言葉の繰り返しをここで辞めたいと思う。

僕は、この映画を撮るために、神山に来たのである。

港幸子さんという、或る散髪屋との出会いが僕をここに引き止め、止めさせているのだから。

彼女の家の前で、家を借り、今もこうしてこの文章を打ち込んでいる。

 

2年前の8月に始めてやってきてから、もうこんなに時間が経ってしまった。

「うちが死ぬ前に仕上げてほしいじょ」と幸子さんは言う。

もうすぐ、出来るはず。年末から年明けにかけて、編集します。もうちょっとまっててね。