Exploring Life With Forests Caravan Project 2012 Preview

「日本に歸(かえ)る」

このキャラバンの内容を、一言で表すならばそうなるのかもしれません。
実際に正月で里帰りされた方も多いでしょうし、そうでない方も多いでしょう。
ですが、その「故郷」の近辺に、都市伝説や噂や「・・・らしい」とか、言われているような場所がないでしょうか。

日本という国は、ほんとうに多様な国であると、このキャラバンを通して感じました。飛行機に乗ってしまえば、ただの点景か雲の下としてしか認めない、三・四時間程度で北から南まで行き来できてしまうような小さい国ですが、その点景に赴き、参詣してみると、想像を絶するくらいの深みと、違いと、類似性があります。

それは、「ちょっとだけ奥」だったり、「このトンネルを抜けた先」だったり、
「あそこの山の中」だったり、「遠くに見える島」だったりするはずです。
行こうという意思を持てば、そんなに難しくはないところです。

そういう「僻地」や、「秘境」もたしかに僕たちの国であり、連続した道の先にあります。そこに知らなかった方言があり、もの凄い祭や面白い形のお面や装束があり、踊りがある。鹿やタヌキやイノシシや熊を狩り、様々な山菜や自然の恵みを頂く文化がある。それらが、本来僕たちの文化的拠り所とするべき「日本」だったのではないかと思います。

その土地ゝゝが苦しんでいます。ご承知のように高齢化、過疎化、そして獣害です。
又、山に住む人々にとっては、この30年たらずの「森の放擲」によって起こる、
生命の危険につながるような様々な災害が起こりつづけててもいます。
それは、僕らにとって無関係ではないのです。それは「ちょっとだけ向こう」で起きているのです。

「過疎」あるいは「限界集落」と表記すると、そこに塗炭の苦しみや、孤絶された悲壮感のような印象を抱きますが、実際に「ちょっと先」へ踏み入れてみると、そこには楽しみや笑いやありえないほどの思いやりや暖かみがありました。しかし、その人たちの闊達さの裏にひそんでいる孤独は、とても深いとも感じもしました。

今回五人の海外(フランス、イギリス、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール)の個性あふれる優れた作家たちと、北は山形から南は沖縄まで旅をしてきて、
僕はそういう「日本」が、本当にかけがえのない、貴重な、守るべき、受け伝えるべき、愛おしむべき存在であると強く思うのです。

企画を作っている段階で、「結び目」という言葉が浮かびました。
自然と人、森と人、神と人・・・或は都会と田舎。そのような結び目を形作るための、様々な「糸」を拾い集め、探し求めてきたように思うのです。けっして完全ではありませんし、網羅もしきれていません。ですが、これは僕なりには、精一杯飛び回った記録なのです。どうなるかどうかは分かりませんが、できれば、今後も続けていきたいと思っています。

そんな映像のサワリを、ちょっとだけ見ていただきたいのです。

7つの地域を繋げた本編は、2月10日奇しくも旧正月の日に、神山の改善センターで上映します。お時間がある方は、ぜひ入らして頂ければと思います。

その後5つの別個のドキュメンタリー作品となることを目指して編集していくことになります。